ステンレスの溶接とは
1. ステンレス鋼の溶接は難しい!
“ステンレス鋼の溶接は難しい“とよく言われますが、それは以下の点によるものと考えられます。
①ステンレス鋼は、大まかにオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、二相ステンレス系(オーステナイト・フェライト系)に区分され、溶接特性が大きく異なります。
さらにそれぞれでその成分系により細分化されるので、溶接特性が多様となります。
②国内で広く使用されるオーステナイト系ステンレス鋼で云えば次の問題があります。
・溶接入熱により、製作物が大きく変形してしまいます。
(炭素鋼に比較して線膨張係数が1.5倍と高く、熱伝導率が1/3と低い)
・溶接施工自体も炭素鋼と比較し技量を要します。
(アークが安定せず、スパッタが多いです。溶け落ちが発生します。スラグが剥離しづらいです。等々)
③当然であるがステンレス鋼が使用される目的の主なものは、腐食環境であったり、
高熱、低温環境であったりするので、溶接部の信頼性が極めて重要になります。
以上のような問題により、ステンレス鋼の溶接が敬遠されるのではあるが、比較的薄い板厚の溶接について言えば、小入熱の溶接で有り、且つ、Tig溶接を用いることで問題無く施工が可能と言えます。
但し、中厚板、厚板の大入熱の溶接に関しては、ステンレス鋼の溶接に関する知識・技能を有する、ステンレス鋼溶接技能者による適切な溶接を推奨します。
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